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R0440 / タイ

友達と何を話せばいい?――タイの自閉スペクトラム症の若者が望む、文化に合った対人支援

無地の吹き出し形のカード二枚と、卓上カレンダーの線画。

友達と少し話せても、その後にどんな話題を続ければいいか分からない。タイの研究では、自閉スペクトラム症(ASD)の若者から、そんな経験が語られました。本人、家族、医療職に聞いたのは、対人関係を支えるプログラムに何を望むかということ。学ぶ内容だけでなく、文化や学校生活との関係も話題になっています。

本人24人と家族、医療職の話を聞く

調査は2021年4〜7月、タイのユワプラサート・ワイタヨーパトゥム児童精神科病院で行われました。10〜19歳の若者24人と、それぞれの養育者が一緒に面接を受け、医療職20人は三つのグループで話し合いました。対象には18〜19歳の若者も含まれます。

若者の参加条件には、ASD等の診断と、知能検査の得点が70を超えることが含まれていました。研究チームは、すでに対人支援プログラムを経験した人と、経験していない人の両方から、学びたい内容や参加しやすい形を聞いています。

若者と養育者各24人の年齢・教育・診断区分・支援経験などを集団別に示したTable 5。全行・全列と原題を含む。
10〜19歳の若者24人と、それぞれの養育者24人の集計です。若者には18〜19歳の三人を含み、対人支援プログラムの経験がある人は13人、ない人は11人でした。診断名の欄は原論文の表記です。
引用元画面:International Journal of Mental Health Systems(2026-10-15取得)/Nadlada Tawankanjanachot, Maria Truesdale, Pornpun Orachon and Lisa Kidd(2024), Table 5. © The Author(s) 2023/CC BY 4.0原典:Social skills interventions for Thai adolescents with Autism Spectrum Disorder (ASD): a qualitative study of the perceptions and experiences of Thai adolescents, their caregivers and healthcare professionals.原図表と元の説明を、公式サイトの画面から撮影しました。図表の内容は変更せず、全体が見えるよう縮小表示しています。画面の操作ボタンなどは、論文図表のライセンスの対象とはしていません。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
若者と養育者各24人の年齢・教育・診断区分・支援経験などを集団別に示したTable 5。全行・全列と原題を含む。

会話の続け方と、文化の中での伝え方

若者が挙げたのは、友達との会話の続け方、関心の共有、関係を作る方法などです。医療職からも、相手の反応を読みながら話題を変えたり、順番に話したりする場面を扱いたいという声がありました。

養育者の一人は、自分たち親が気持ちをはっきり表現しないため、子どもが表現の手本を見つけにくいと話しました。研究では、年長者との関わり方など、地域の文化に沿った説明も論点になっています。これらは参加者の語りであり、タイの家庭がすべて同じだという説明ではありません。

学校を休まず、周囲の目を気にせずに通いたい

本人や家族には、通院による欠席を友達に知られたくない、からかわれたくないという気持ちもありました。学校のない週末や休暇中なら参加しやすいと話す家族もいます。医療職からは、専門的な研修や、担当業務との調整を求める声が出ています。

この研究が示したのは、支援を受ける側と提供する側の希望です。新しいプログラムを実施して対人関係の変化を測った試験ではありません。会話の内容と、参加する時間・場所の両方を、当事者の経験から整理した調査です。

図1の中央に重なるのは、親がプログラムへどう関わるか、どの対人スキルを扱うか、どのように学ぶか、タイの文化にどう合わせるかという話題です。医療職側では研修や業務量、本人・養育者側では偏見による参加しにくさも挙がりました。支援内容への希望だけでなく、提供する条件と通える条件の違いが見える配置です。

医療職と若者・養育者のテーマと、双方に共通する六つのテーマを示す全体図。原図番号と原captionを含む。
中央は親の関わり、学ぶ内容、学び方、文化への適合などの共通テーマです。左には医療職の研修・業務量、右には本人や家族が語った偏見による参加しにくさがあり、立場ごとの違いも示しています。
引用元画面:International Journal of Mental Health Systems(2026-10-15取得)/Nadlada Tawankanjanachot, Maria Truesdale, Pornpun Orachon and Lisa Kidd(2024), Fig. 1. © The Author(s) 2023/CC BY 4.0原典:Social skills interventions for Thai adolescents with Autism Spectrum Disorder (ASD): a qualitative study of the perceptions and experiences of Thai adolescents, their caregivers and healthcare professionals.原図表と元の説明を、公式サイトの画面から撮影しました。図表の内容は変更せず、全体が見えるよう縮小表示しています。画面の操作ボタンなどは、論文図表のライセンスの対象とはしていません。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
医療職と若者・養育者のテーマと、双方に共通する六つのテーマを示す全体図。原図番号と原captionを含む。

この記事のまとめ

  • 若者自身が望む対人支援を、家族や医療職の声と並べた

    タイのASDの若者24人と養育者、医療職20人への聞き取りでは、会話の続け方や友達づくりに加え、文化・通う時間・周囲の反応が語られました。

  • 支援の内容を、受ける人の生活から組み立てる

    既存の方法を教えるだけでなく、本人が学びたいことや通える条件を先に聞いた点に意義があります。プログラムの効果が確定した報告ではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本の障害児支援の手引きも、子どもの意思表出・意見表明と、その実現を扱います。タイの若者が望んだ話題や時間帯が、日本でも同じとは限りません。

    日本の参考資料:こども家庭庁:こどもの意思の尊重・最善の利益の手引き
  • 日本で参考にするなら

    本人の学びたい会話、学校や友人との関係、参加しやすい時間を別々に聞き、プログラムの設計へつなぐ進め方を参考にできます。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Social skills interventions for Thai adolescents with Autism Spectrum Disorder (ASD): a qualitative study of the perceptions and experiences of Thai adolescents, their caregivers and healthcare professionals.
原典日:2024-01-02 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、会話と参加する時間をイメージした説明イラストです(Jag Project / AI生成)。研究で使われた実際の教材やプログラムを再現したものではありません。