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R0076 / スペイン

ASD児が運動に参加しにくい理由を家族から聞く——スペインの少人数活動

運動への参加や見学を選ぶ子どもと、迎える指導者を描いた説明線画。

「運動が好きではない」という言葉の背景には、どんな経験があるのでしょうか。スペインのバレンシアでは、運動プログラムに参加した自閉スペクトラム症(ASD)の男児の親に、以前の参加しにくさと、今回の活動で感じた違いを聞いています。

12週間の活動後に、17人の親へ聞く

スペインのバレンシアで12週間の複合的運動プログラムを終えた男児の保護者17人に、研究チームが聞き取りました。子どもの年齢は8〜12歳で、対象は、診断分類で「支援を必要とする」とされるASDレベル1です。

22家族への案内、18家族の同意、録音の不具合による1家族の除外、17家族分の分析へ進む図1。
家族の募集から聞き取りの分析までをまとめた図です。22家族への案内後、18家族が同意し、17家族分を分析しています。
引用元画面:Children / PMC掲載原典(2026-10-11取得)/Marina Conesa-Molina, María Dolores Grau, Ana Pablos and Laura Elvira(2026), Figure 1. © 2026 by the authors./CC BY 4.0原典:Parental Perspectives on Sports Participation in Boys with Autism Spectrum Disorder Level 1 Following a Multicomponent Physical Activity Program: A Qualitative Study.実ページの該当図表と原キャプションを周囲8px込みで撮影。DOM再構成・図中文字の変更なし。表示用にWebP変換。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
22家族への案内、18家族の同意、録音の不具合による1家族の除外、17家族分の分析へ進む図1。

苦手意識の背景に、排除や教え方の経験

Conesa-Molina氏らが『Children』で報告した研究によると、親の説明から、いじめや排除、失敗経験、合わない教え方、専門性の不足、場所へのアクセスなどが論点として整理されました。少人数、見通しのある構成、視覚的な支え、訓練された指導者は参加を助ける要素として語られています。

親の語りには、いじめや排除、失敗経験が、子どもの運動からの離れ方と結びついていました。活動そのものに関心がないという説明だけでなく、そこで経験した人間関係や教え方も挙がっています。研究が整理したのは、親が振り返った参加の背景です。

少人数と見通しを、親はどう受け取ったか

今回のプログラムについて、親は少人数、視覚的な支え、予測しやすい進行、訓練を受けた指導者などを、参加を助ける要素として語りました。競技名だけではなく、活動の人数や説明の仕方まで含めて受け取られていたことが分かります。

合わない教え方や排除からの不参加と、調整した指導、視覚支援、楽しさ、意欲、継続を並べた概念モデル。
家族の語りから、参加を後押しする経験と、参加しにくくなる経験を整理した図です。
引用元画面:Children / PMC掲載原典(2026-10-11取得)/Marina Conesa-Molina, María Dolores Grau, Ana Pablos and Laura Elvira(2026), Figure 2. © 2026 by the authors./CC BY 4.0原典:Parental Perspectives on Sports Participation in Boys with Autism Spectrum Disorder Level 1 Following a Multicomponent Physical Activity Program: A Qualitative Study.実ページの該当図表と原キャプションを周囲8px込みで撮影。DOM再構成・図中文字の変更なし。表示用にWebP変換。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
合わない教え方や排除からの不参加と、調整した指導、視覚支援、楽しさ、意欲、継続を並べた概念モデル。

一方、ある母親は、息子が参加を負担に感じていたと語りました。この母親は、冬は屋内の施設のほうがよかったとも述べています。

この報告は、ASDレベル1の8〜12歳の男児の親17人の聞き取りです。結果は親の解釈で、標準化した測定や本人の聞き取りによる裏付けとは異なります。活動を終えた家庭が感じた経験を深く読む研究で、全てのASD児に同じ条件が合うという比較試験ではありません。

この記事のまとめ

  • 運動に参加しづらかった経験を、親の語りから捉えた

    スペインで12週間の活動を終えたASDの男児の親17人に聞くと、いじめや失敗経験、教え方の不一致と、少人数・視覚支援などの支えが語られました。

  • 不参加を、本人の意欲だけで説明しない

    活動内容に加え、人間関係や教え方も参加に関わることを示した点が意義です。保護者の経験を聞いた研究で、特定の運動法の優劣試験ではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本の放課後等デイサービスの指針も、物理的な環境、意思疎通、ルールなどのバリアを子ども・保護者との対話から検討する枠組みです。

    日本の参考資料:こども家庭庁:放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)
  • 日本で参考にするなら

    参加人数、説明の見せ方、見通し、指導者との関係を分けて振り返る視点を参考にできます。本人の希望を聞くことも、親の評価とは別に大切にしたい点です。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Parental Perspectives on Sports Participation in Boys with Autism Spectrum Disorder Level 1 Following a Multicomponent Physical Activity Program: A Qualitative Study.
原典日:2026-09-07 / 取得:2026-10-10

画像について

冒頭の線画は、運動への関わり方を選ぶ場面の説明イラストです(Jag Project / AI生成)。研究参加者や、実際の活動場面を再現したものではありません。研究対象の子どもは男児でした。