ASDの確認へ、日常の診療からつなぐ――マレーシア・クランタンの207人への評価

発達の相談は、乳幼児の健康診査だけでなく、学校からの紹介や日常の受診からも始まります。マレーシア・クランタン州の研究は、政府の地域診療所で207人を評価し、その中の29人に新たに自閉スペクトラム症(ASD)の診断を確認しました。
質問票の結果にかかわらず、専門職が評価する
調査は2025年3〜9月、州内の五つの地区で行われました。参加条件は18か月〜12歳で、ASDやその他の発達に関する診断がすでについていた子どもは除外しています。親がマレー語または英語を理解し、同意した家庭が参加しました。
全員が地域で開発したSensory-Behavior Profileという感覚・行動の質問票を受け、その得点にかかわらず家庭医療の専門医が評価しました。専門医には質問票の結果を知らせず、発達歴、家族の心配、行動の観察などをもとに診断基準と照合しています。

引用元画面:BMC Primary Care(2026-10-15取得)/Farah Munirah Mior Mazlan, Raishan Shafini Bakar, Suhaily Mohd Hairon, Masliza Yusoff, Nik Normanieza Nik Man (2026), Fig. 1. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Exploring factors associated with autism spectrum disorder diagnosis among children in primary care clinics in Kelantan, Malaysia.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)

今回診断された子どもは、7〜12歳だった
29人がASD、178人が非ASDに分類されました。新たにASDと診断された29人は、全員7〜12歳でした。対象年齢は乳幼児期からですが、実際に診断された集団の年齢は異なります。
調整した解析では、評価時の年齢が高いことと第一子であることが、ASDの診断と関連しました。年齢の調整オッズ比は1年当たり1.30、第一子は第二子以降に対して2.48でした。ただし、年を取ることがASDの原因になると示した結果ではありません。

引用元画面:BMC Primary Care(2026-10-15取得)/Farah Munirah Mior Mazlan, Raishan Shafini Bakar, Suhaily Mohd Hairon, Masliza Yusoff, Nik Normanieza Nik Man (2026), Table 3. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Exploring factors associated with autism spectrum disorder diagnosis among children in primary care clinics in Kelantan, Malaysia.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)

診断される時期と、受診の条件が関わる
著者らは年齢との関連について、気づき、受診、紹介、診断の確認までの過程が遅くなる可能性を論じています。また、幼い子どもが診療中に落ち着かず、研究のために滞在を延ばすことが難しくて参加を断った家庭もあったと説明しています。
参加施設は受診者の多い政府診療所から選ばれ、診断は複数の専門医が担当しました。この研究は、質問票だけで診断を決めず、診療の中で確認へつなぐ具体的な手順と、そこへ参加した子どもの特徴を示しています。
この記事のまとめ
- 日常の地域診療から、発達評価につながる経路を調べた
マレーシア・クランタンの地域診療所で207人を評価し、質問票の得点とは別に専門医が診断を確認しました。新たにASDと確認された29人は7〜12歳でした。
- 乳幼児期だけに限定せず、相談の接点を捉える
学校からの紹介や日常受診を含む経路に着目した点に意義があります。年齢がASDを起こすという結果や、国全体の有病率を示す数字ではありません。
- 日本の状況と比べると
日本の公的な受診案内も、質問票だけでなく生育歴・生活状況・行動観察を含む評価を説明しています。この診療所の参加者の結果とは、対象と制度の範囲が異なります。
日本の参考資料:発達障害ナビポータル:医療受診の意義と診断までの流れ - 日本で参考にするなら
健診後の年齢でも、学校や日常診療で共有された心配を相談につなぐという視点が参考になります。質問票の結果だけで診断を決めない点も共通する論点です。
日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。
出典
Exploring factors associated with autism spectrum disorder diagnosis among children in primary care clinics in Kelantan, Malaysia.
原典日:2026-06-17 / 取得:2026-10-14
画像について
冒頭の線画は、身近な診療から相談・評価へつながる入口をイメージした説明イラストです(Jag Project / AI生成)。実際の診療所や診断用具ではありません。



