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R0138 / ネパール

子どもの発達の心配は、誰から診療へつながった?――ネパールのASD診療記録138人

家庭、学校、診療所を道でつないだ相談の入り口のイメージ

子どもの発達が気になるとき、家族自身の心配、親族の言葉、小児科や学校からの紹介など、相談の入り口はさまざまです。ネパール・カトマンズの民間クリニックが、そこで自閉スペクトラム症(ASD)と診断された子ども138人の記録を調べています。

家族と子どもを、複数の専門職が評価する

研究の対象はSynergy Mind Clinicで、2022年9月16日から2024年3月15日までに診断された子どもの記録です。児童・思春期精神科医または精神科医が子どもと家族を評価し、その後に臨床心理職が評価する診療体制が紹介されています。

研究チームは診断時の年齢、相談につながった経路、学校、ASDの特徴や生活上の適応に関する尺度を整理しました。診断時の平均年齢は42.94か月、標準偏差は17.49か月でした。平均値だけでなく、診断の時期には幅があります。

親と親族の心配が、相談の大きな入り口

親自身の心配による受診は39人、親族をきっかけとする受診は25人でした。この二つを合わせると64人です。小児科からの紹介は19人、ソーシャルメディアを通じた情報がきっかけとなった人は15人でした。

Table 2の受診経路部分。親自身39人、親族25人、小児科19人、ソーシャルメディア15人など
親自身の心配から受診した子どもが39人、親族をきっかけとした子どもが25人でした。小児科の紹介19人に加え、ソーシャルメディアの情報をきっかけとした15人も記録されています。
出典:© The Author(s) 2025. Karki et al., JNMA / Table 2・Source of referral部分 / CC BY 4.0
原PDFの連続した表の一部を画像化。文字・数値・色は変更していません。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
Table 2の受診経路部分。親自身39人、親族25人、小児科19人、ソーシャルメディア15人など
図表の出典と表示範囲

Clinico Socio-Demographic Profile of Children with Autism Spectrum Disorder from a Mental Health Clinic in Nepal: An Observational Study.
Utkarsh Karki, Amit Jha, Samjhana Parajuli, Anil Sharma, Bhupendra Gurung, Dipesh Bhattarai
JNMA 2025; 63(284):229–233(2025年4月号) / PDF 3頁
Table 2・Source of referral部分
PDF取得:2026-11-02 / 画像化:2026-11-02(原PDFを216 dpiで画像化)

学校からの紹介やASD支援施設からの紹介も記録されています。家族の気づきと専門職の紹介が、それぞれ診療につながる経路になっていました。ただし、研究が捉えているのは、このクリニックにたどり着いた子どもたちです。相談できなかった家庭の経路までは含みません。

診断の記録と、学校での暮らしを並べる

学校については、通常の学校に通っていた子どもが114人、特別な支援を行う学校が5人、学校に通っていなかった子どもが19人でした。診断名だけでなく、子どもがどこで過ごしているかも、この記録には残されています。

Table 1の上部。性別と居住地域に続き、Schooling欄に通常校114人、特別校5人、非通学19人と記載
138人の性別・地域・通学状況をまとめた表の一部です。Schooling欄には、通常校114人、特別校5人、通学していない子ども19人とあります。
出典:© The Author(s) 2025. Karki et al., JNMA / Table 1・性別/地域/Schooling部分 / CC BY 4.0
原PDFの連続した表の一部を画像化。文字・数値・色は変更していません。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
Table 1の上部。性別と居住地域に続き、Schooling欄に通常校114人、特別校5人、非通学19人と記載
図表の出典と表示範囲

Clinico Socio-Demographic Profile of Children with Autism Spectrum Disorder from a Mental Health Clinic in Nepal: An Observational Study.
Utkarsh Karki, Amit Jha, Samjhana Parajuli, Anil Sharma, Bhupendra Gurung, Dipesh Bhattarai
JNMA 2025; 63(284):229–233(2025年4月号) / PDF 2頁
Table 1・性別/地域/Schooling部分
PDF取得:2026-11-02 / 画像化:2026-11-02(原PDFを216 dpiで画像化)

論文は一つの診療所の過去の記録を整理した報告です。早い診断や学校への通学によって発達が改善したかを、この研究で比較して確かめたわけではありません。ここで具体的に見えるのは、受診のきっかけ、診断の時期、通学の状況です。

この記事のまとめ

  • 子どもの相談が、誰を通じて診療につながったかを調べた

    ネパールの民間クリニックのASD児138人の記録では、親・親族の心配が64人の受診につながり、小児科や学校などの経路も記録されました。

  • 家族の気づきを、相談先につなぐ仕組みを考えられる

    診断年齢だけでなく相談の入口と通学状況を並べた点に意義があります。一つの診療所に受診した人の記録で、地域全体の診断率を示すものではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本の公的な受診案内も、生育歴や生活状況の問診と行動観察、支援情報の共有を扱います。ネパールのこのクリニックの紹介経路は、日本の受診経路の分布とは別です。

    日本の参考資料:発達障害ナビポータル:医療受診の意義と診断までの流れ
  • 日本で参考にするなら

    家族がいつ何を心配したか、園や学校で何があったかを整理して受診につなぐ観点が参考になります。受診の入口と、その後の支援を一緒に見ることが論点です。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Clinico Socio-Demographic Profile of Children with Autism Spectrum Disorder from a Mental Health Clinic in Nepal: An Observational Study.
原典日:2025年4月号 / 取得:2026-10-14

Clinico Socio-Demographic Profile of Children with Autism Spectrum Disorder from a Mental Health Clinic in Nepal: An Observational Study.(出版社PDF)
原典日:2025年4月号 / 取得:2026-11-02

画像について

冒頭のイラストは、家庭や学校から相談へつながる経路を表しています。実際の診療所や地図を描いたものではありません。