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R0054 / ブラジル

学校で面接できなかった家庭にも届ける――ブラジル・コシーリャの子ども475人のASD調査

学校と家庭を小道で結んだ、農村の地域連携のイメージ

学校で保護者に尋ねるだけでは、面接に来られなかった家庭が残ります。ブラジル南部のコシーリャでは、学校と地域の保健職員が協力し、2歳半から12歳の子ども475人全員を自閉スペクトラム症(ASD)の調査につなげました。小さな自治体で行われた取り組みです。

学校の面接を、地域の名簿で補う

調査はリオグランデ・ド・スル州のコシーリャで、2024年3〜12月に行われました。対象は2歳半以上、13歳未満の子どもです。地域の保健職員が普段から家庭を訪ねていたため、転入・転出も含めた名簿を使えました。

最初に自治体の二つの学校で保護者に面接し、ポルトガル語の質問票Mini-TEAを使いました。その後、保健職員の協力で、学校で面接できなかった都市部・農村部の家庭も探しました。論文は、対象全員が参加し、参加拒否はなかったと報告しています。

質問票の後に、神経科医が評価する

質問票の基準を超えた116人は、発達に詳しい神経科医が診断基準に沿って評価しました。ASDと判断されたのは16人です。ほかにも、注意欠如・多動症(ADHD)や言語の困難などの診断がありました。質問票の得点が高いことと、ASDの診断がつくことは同じではありません。

質問票調査475人、5点未満359人、神経科医評価116人と診断結果の一部を示すフロー図
475人の質問票から、5点以上の116人が神経科医の評価へ進み、16人がASDと判断されました。5点未満の359人はこの診断評価へ進んでおらず、質問票と診断の段階を分けた流れです。
出典:Forcelini C et al. (2026), Cad. Saúde Pública / Figure 1 / CC BY 4.0
原PDFの連続した図全体を画像化。文字・数値・色は変更していません。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
質問票調査475人、5点未満359人、神経科医評価116人と診断結果の一部を示すフロー図
図表の出典と表示範囲

Prevalence of autism spectrum disorder in children: complete census of a Brazilian municipality.
Cassiano Forcelini, Ana Luisa Carregosa, Eduarda Leitzke, Gilmar da Silva, Regina Ampese, Itamara de Moura, Helena de Melo
Cad. Saúde Pública 2026; 42:e00255925 / PDF 4頁
Figure 1
PDF取得:2026-11-02 / 画像化:2026-11-02(原PDFを216 dpiで画像化)

ASDと判断された16人は、この調査の前、または調査期間中に、別の専門職からも診断されていました。既に地域で診療につながっていた子どもを含む結果です。

全員参加と、全員の診断評価は違う

論文の得点分布図では、475人の得点は0〜15点に広がり、低い得点側に多く集まっています。研究では5点以上を診断評価へつなぐ入口にしました。得点の分布と、専門家が判断した診断は別の結果です。

0〜15点のMini-TEA得点ごとの人数を示す棒グラフ。低い得点側に多く集まる
横軸が質問票の得点、縦軸が人数です。0〜1点に多く集まり、高得点側は少数でした。5点以上を診断評価の入口にしたため、全員の得点分布と、診断された人数とは別の集計です。
出典:Forcelini C et al. (2026), Cad. Saúde Pública / Figure 2 / CC BY 4.0
原PDFの連続した図全体を画像化。文字・数値・色は変更していません。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
0〜15点のMini-TEA得点ごとの人数を示す棒グラフ。低い得点側に多く集まる
図表の出典と表示範囲

Prevalence of autism spectrum disorder in children: complete census of a Brazilian municipality.
Cassiano Forcelini, Ana Luisa Carregosa, Eduarda Leitzke, Gilmar da Silva, Regina Ampese, Itamara de Moura, Helena de Melo
Cad. Saúde Pública 2026; 42:e00255925 / PDF 5頁
Figure 2
PDF取得:2026-11-02 / 画像化:2026-11-02(原PDFを216 dpiで画像化)

この調査で全員が受けたのは、まず質問票による確認です。基準以下だった子どもへの診断評価は行っていません。また、診断評価を担当したのは一人の神経科医でした。

コシーリャは農業を中心とする小さな町で、全国の子どもを代表する調査ではありません。それでも、学校だけに頼らず、地域の保健活動と名簿を組み合わせて対象家庭へ届いた過程が、具体的に記録されています。

この記事のまとめ

  • 学校で面接できない家庭にも、地域の保健職員と連絡した

    ブラジル・コシーリャの調査は、学校と地域の連携で対象475人全員を質問票につなぎ、基準を超えた116人を専門家が評価しました。

  • 調査や支援に参加できなかった人を、分母から落とさない

    学校に来られた家庭だけに限らず、対象への到達状況を確かめた点に意義があります。475人全員の診断評価や、新規16人の発見を意味する報告ではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本には市町村の乳幼児健診などの接点があります。ブラジルの一自治体の全対象調査と、日本の健診制度は対象年齢も目的も違い、結果の割合を直接比べることはできません。

    日本の参考資料:こども家庭庁:乳幼児健診に関する取組み
  • 日本で参考にするなら

    案内を送った件数と実際につながった件数を分け、連絡できなかった家庭へどう接点をつくるかを考える進め方が参考になります。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Prevalence of autism spectrum disorder in children: complete census of a Brazilian municipality.
原典日:2026-09-18 / 取得:2026-10-14

Prevalence of autism spectrum disorder in children: complete census of a Brazilian municipality.(出版社PDF)
原典日:2026-09-18 / 取得:2026-11-02

画像について

冒頭のイラストは、学校と家庭をつなぐ地域の協力を表しています。コシーリャの実際の地図や建物を描いたものではありません。