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R0090 / ニュージーランド

自閉症の子どもとの遊び方を学ぶLet’s Play——親の心理的な負担と親子の関わりを調べたニュージーランドの試験

三つの積木と、無題の閉じたノートの線画。

自閉症の子どもとの遊び方を学ぶ支援では、親子のやりとりと、養育者の心理的な負担をどう評価するのでしょうか。ニュージーランドのLet’s Playを調べた無作為化比較試験では、養育者の心理的な負担などに短期的な差が見られた一方、親子の関わりや発話では明確な群間差がありませんでした。

集団で学び、家庭で試す9週間

Let’s PlayはAutism NZが開発・提供するプログラムです。3時間の集団ワークショップを3回、1時間の家庭訪問による個別コーチングを5回組み合わせます。子どもの関心に沿って遊ぶことや、日常の活動でやりとりする方法を学び、家庭ではコーチと実践や困りごとを振り返ります。

研究はオークランドで2022年10月〜2023年6月に参加者を募集し、2026年に公表されました。登録時5歳11か月以下の子どもを含む親子91組を、すぐに参加する45組と、9週間待つ46組へ無作為に割り付けました。正式診断を待つ子どもも含みますが、週15時間以上の専門的支援を受ける子どもなどは対象外です。待機群も通常の支援は利用でき、待機後にはLet’s Playに参加しました。

負担の軽減と、遊びの関わりを分けて読む

短期比較では、すぐに参加した群の終了時と、待機群の9週間後・参加前を比べ、開始時の得点を考慮しました。養育者の心理的な負担を尋ねる尺度では、参加群の得点が5.1点低く、95%信頼区間は2.4〜7.9点の低下でした。抑うつ・不安症状や、養育への自信でも参加群に有利な差が報告されています。子どもの生活の質と行動上の困難を尋ねた質問紙にも差がありました。

一方、動画で評価した親子の関わり、子どもの発話数、使った異なる語の数には、統計的に有意な群間差がありませんでした。関わりが時間とともに増えたことと、プログラム固有の効果が確かめられたことは別です。動画の評価者には割付を知らせずに採点しました。

解析に使えた人数は項目によって異なり、この短期比較の動画は参加群27組・待機群31組、質問紙は31組・33組でした。割付91組の全員が、すべての評価を提出した結果ではありません。

子どもの五指標と養育者の四指標について、両群の人数・平均・調整平均差と95%信頼区間を示す全表。原表題と脚注を含む。
参加群の終了時と、待機群の参加前を比べた結果です。養育者の負担などには差がありましたが、親子の関わりや発話には統計的に明確な群間差が見つかっていません。
引用元画面:Journal of Autism and Developmental Disorders(2026-10-15取得)/Ashley E. Hinten, Philip Schluter, Cathy Andrew, Caroline Donovan, Isabel Jameson, Phoebe Jordan, Ann-Marie Kennedy, Selina Muralitharan, Jenna van Deurs, Lauren van Noorden, Jake Payton, Bella Rothwell, Laurie McLay (2026), Table 3. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:The Effect of Participation in the Let's Play Program on Autistic Children's Engagement and Caregiver Well-Being: A Randomized Controlled Trial.公式Webの全表と原題・原脚注を撮影。文字と値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
子どもの五指標と養育者の四指標について、両群の人数・平均・調整平均差と95%信頼区間を示す全表。原表題と脚注を含む。

参加しやすさにも時間の負担があった

参加者は概してプログラムを受け入れていましたが、仕事を休むこと、移動、ほかの子どもの世話などが参加の負担として挙がりました。親子の動画を連続して撮影する難しさも報告されています。洪水やサイクロンで評価日程が延びた家庭もありました。

受容性を答えた全58人と参加時期別の30人・28人について、全項目の得点範囲、平均、標準偏差と逆転採点の脚注を示す表。
58人の受け入れやすさの総得点は、119点満点で平均103.3点でした。理解しやすさは7点満点で6.7点です。「Cost」は料金ではなく負担の評価得点で、副作用と時間・中断の項目は逆転採点されています。
引用元画面:Journal of Autism and Developmental Disorders(2026-10-15取得)/Ashley E. Hinten, Philip Schluter, Cathy Andrew, Caroline Donovan, Isabel Jameson, Phoebe Jordan, Ann-Marie Kennedy, Selina Muralitharan, Jenna van Deurs, Lauren van Noorden, Jake Payton, Bella Rothwell, Laurie McLay (2026), Table 4. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:The Effect of Participation in the Let's Play Program on Autistic Children's Engagement and Caregiver Well-Being: A Randomized Controlled Trial.公式Webの全表と原題・原脚注を撮影。文字と値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
受容性を答えた全58人と参加時期別の30人・28人について、全項目の得点範囲、平均、標準偏差と逆転採点の脚注を示す表。

6か月後の追跡では、待機群もすでにプログラムを受けています。未参加群と比べた長期効果ではありません。また、養育への自信の推移は原論文の表と説明で方向が一致していません。表2の平均値は終了直後より低く、結果の本文は改善と説明しています。この試験では、養育者の負担と子どもの関わりを別々に見ることと、短期の比較結果と追跡の記述を区別することが重要です。

この記事のまとめ

  • 親子の遊び方を学ぶ支援を、待機群と比べた

    ニュージーランドのLet’s Playの試験では、9週間後の養育者の心理的負担などに参加群に有利な差がありました。親子の関わりや発話には明確な群間差がありませんでした。

  • 親の変化と子どもの変化を、別の成果として捉える

    家族への支援では、子どもの発話だけでなく養育者の負担も評価する意味が示されています。二つの成果を一つの「効果」でまとめない点が参考になります。

  • 日本の状況と比べると

    日本にもペアレント・プログラムやペアレント・トレーニングがありますが、Let’s Playと同一の内容ではありません。公的な家族支援情報では、学ぶ内容や目的を分けて紹介しています。

    日本の参考資料:国立障害者リハビリテーションセンター:家族支援
  • 日本で参考にするなら

    国内のプログラムを選ぶときも、子どもの目標と親の目標、参加に必要な移動・時間・撮影などの負担を分けて考える視点が参考になります。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

The Effect of Participation in the Let's Play Program on Autistic Children's Engagement and Caregiver Well-Being: A Randomized Controlled Trial.
原典日:2026-07-06 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、遊びを通じた関わりと親の振り返りをイメージした説明イラストです(Jag Project / AI生成)。実際のプログラム教材や参加者の持ち物を再現したものではありません。