世界のこども発達支援
関連記事へ ↓

R0272 / スウェーデン

子どもの頃に始まった摂食障害の、その後の食事の特徴――スウェーデン56人の長期追跡

器とスプーン、無題の閉じた手帳の線画。

食べ物の感触が苦手だったり、食事への関心が薄かったりすることと、体重への心配から食事を制限することは、同じではありません。スウェーデンの研究チームは、子どもの頃に摂食障害の治療を受けた56人を長期に追い、自閉症に関連する食事の特徴を尋ねる質問票で、その後の状態を調べました。

子どもの頃の診断と、追跡時の状態を分ける

対象は、児童期に神経性やせ症(AN)だった37人と、低体重を伴う回避・制限性食物摂取症(ARFID)だった19人です。ARFIDは、体重や体形への心配とは別の理由で食事が制限される状態です。後者の診断は、当時の記録と追跡調査からさかのぼって確認しています。

追跡までの期間は7〜29年で、回答者は女性53人、男性3人でした。子どもの頃から追った研究ですが、現在の児童56人を調べた結果ではありません。元の集団の45%は追跡調査に参加していないため、回答した人の結果として読む必要があります。

参加者を選び、過去の診断と追跡時の状態を調べるまでの全フローと原図題。
元の102人のうち56人が追跡調査へ参加しました。児童期の記録を再検討してAN37人・ARFID19人に分け、さらに追跡時の診断を確認しています。昔の診断群と、追跡時の状態を別々に扱う手順です。
引用元画面:Journal of Eating Disorders(2026-10-15取得)/C. R. André Lange, Emma Claesdotter-Knutsson, Peik Gustafsson, Ulf Wallin (2026), Fig. 1. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Long-term follow-up study of low-weight avoidant/restrictive food intake disorder and childhood-onset anorexia nervosa: comparison of autistic eating behaviours.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
参加者を選び、過去の診断と追跡時の状態を調べるまでの全フローと原図題。

以前の診断名より、追跡時の状態との関係

研究が使ったSWEAAは、食べ物への感覚、食事の習慣、食卓での他者との関わりなど、自閉症に関連する食事の特徴を本人が回答する質問票です。今回の参加者について自閉スペクトラム症(ASD)の診断割合を示した調査ではなく、質問票の得点だけでASDを診断することもできません。

SWEAA総得点の中央値は、以前ANだった群で10.0、ARFIDだった群で8.21でしたが、二群の差は統計的に有意ではありませんでした。一方、56人全体を追跡時の状態で分けると、摂食障害がある13人、ほかの精神医学的診断がある14人、診断がない29人の三群に得点の差がありました。得点は摂食障害がある群で高く、診断がない群で低くなっています。

ただし、以前ARFIDだった19人だけでは、追跡時の三群の差は有意ではありませんでした。全体での関連を、ARFIDを経験したすべての人に同じように当てはめられる結果ではありません。

体格だけでは、食事の特徴は見えない

研究チームは、身長と体重から求める体格指数(BMI)でも参加者を三つに分けました。AN群、ARFID群のどちらでも、BMIが20未満の人のSWEAA得点の中央値が最も低かったものの、それぞれの三群の差は有意ではありませんでした。体格と質問票に表れた食事の特徴は、一対一で対応していない結果です。

AN群とARFID群について、BMIの三つの区分別にSWEAA等の結果を示す全表。全人数、中央値、p値と脚注を含む。
食事の特徴を測るSWEAA総得点の中央値は、AN群のBMI20未満で8.99、25超で13.1、ARFID群では6.35と16.3でした。ただし、各診断群内でBMIの三群を比べた差は有意ではなく、体格だけで食事の特徴を説明できる結果ではありません。
引用元画面:Journal of Eating Disorders(2026-10-15取得)/C. R. André Lange, Emma Claesdotter-Knutsson, Peik Gustafsson, Ulf Wallin (2026), Table 2. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Long-term follow-up study of low-weight avoidant/restrictive food intake disorder and childhood-onset anorexia nervosa: comparison of autistic eating behaviours.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
AN群とARFID群について、BMIの三つの区分別にSWEAA等の結果を示す全表。全人数、中央値、p値と脚注を含む。

今回の56人は、以前の長期追跡研究と同じ集団です。今回の分析は、その人たちの食事の特徴に焦点を当てたもので、新しい別集団で結果を再現した研究ではありません。診断名や体格だけでなく、本人が食事をどのように経験しているかを見る視点を示していますが、将来の状態を予測したり、食事療法の効果を試したりした研究ではありません。

この記事のまとめ

  • 子どもの頃の摂食障害と、その後の食事の特徴を追った

    スウェーデンで治療を受けた56人を7〜29年後まで追跡し、自閉症に関連する食事の特徴を質問票で調べました。過去の診断名だけでは得点の違いを説明できませんでした。

  • 過去の診断と、今の食事の困難を分けて見る

    感覚や食事への関心など、現在の特徴に目を向ける点に意義があります。質問票の得点は、ASDの診断や体格の指標そのものではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本の自閉症の教育支援資料は、感覚反応や日常の状態も含めてニーズを捉えます。今回の追跡時の回答は、今の日本の子どもの将来を予測するデータではありません。

    日本の参考資料:文部科学省:教育支援の手引・自閉症
  • 日本で参考にするなら

    食べる量だけで判断せず、感触や食事への関心、生活の変化を分けて伝える視点が参考になります。長期追跡と、目の前の個別の相談の役割は区別します。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Long-term follow-up study of low-weight avoidant/restrictive food intake disorder and childhood-onset anorexia nervosa: comparison of autistic eating behaviours.
原典日:2026-07-08 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、食事の経験とその経過をイメージした説明イラストです(Jag Project / AI生成)。実際の参加者の食事や研究資料を再現したものではありません。